夢を追う子

夢を追う子

「夢を追う子」 作:W・H・ハドソン 訳:西田 実 絵:駒井 哲郎 発行:株式会社福音館書店

美しい蜃気楼にさそわれて家を離れたマーチン少年の心の中の“あこがれ”と自然の神秘とのふれ合いを見事に描いた作品です。
駒井哲郎の版画が作品の世界を豊かに盛りあげています。

(福音館書店HPより)

「福音館古典童話シリーズ」の一冊。
初版が1972年なので50年前だ。
多分…読む人は少ないだろうな。
だが今回なんとなく惹かれるものがあって読んでみて、
なかなかすごい本だな、と思った。

主人公のマーチンは、両親と大草原の小さな家に、彼らだけの生活をしていた。
ともだちは大自然。
ある日しんきろうを追いかけるうち、マーチンは迷子になってしまった。
そこから自然と幻想の世界を旅することになる。
マーチンは7歳ぐらいのようだが、道に迷ってもほとんど臆することなく、
どんどんと奥地へ(?)進んでいく。
森が、川が、山が、そして海がマーチンを呼ぶ。
好奇心のおもむくまま、マーチンは進んでいく。

自然の中で、マーチンはさまざまな人に出会う。
耳の聞こえない老人、
土人たち(NG?)、
山の精と名乗る女性、などなど。
人っ子一人いないかと思ったら、意外と人間も出てくる。
人々とかかわりながら、マーチンは旅をつづけていく。

美しい自然の描写。
現実と幻夢。
マーチンの心の動き。
これらが混然一体となって物語を奏でる。

子どもより大人が読んでおもしろい本だと思う。
ぜひチャレンジしてください。

 

“A LITTLE BOY LOST” by W.H.Hudson(1905)