YA・日本

1/2ページ

黄色い夏の日

「黄色い夏の日」 作:高楼方子 画:木村彩子 発行:株式会社福音館書店 ● キンポウゲって、毒があるっていうじゃない 七月半ばの日曜日。初夏の日差しが落ちる道をたどり、景介の向かう先にその家はあった。 中学生になって入った美術部で、建物を描くという課題がだされた時、まっ先に浮かんだのが、木々と草花に囲まれて建つ、灰色の壁と緑の屋根の古めかしいその洋館だった。 主の老女に招き入れられ、足を踏み入れた […]

スペシャルQトなぼくら

「スペシャルQトなぼくら」 作:如月かずさ  発行:株式会社講談社 ● Q=クエスチョニング。自分の性別が男か女かわからない。 自分が好きになる相手が異性か同性かわからない。 だけど、どっちかわからなくたって、ぼくらはぼくらの好きなものが好き!! 中学2年のナオが塾帰りに目撃したのは、女子のようにメイクをして、かわいい服で街をあるく学年トップの優等生・久瀬の姿。 そのときから、自分のことをごく普通 […]

母の国、父の国

「母の国、父の国」 作:小手鞠るい  発行:株式会社さ・え・ら書房 ● 少女は、この国で、目立った。 そのために、のけものにされたり、けなされたりすることもあった。 壮絶ないじめに耐えつづけた小学生時代。 世間にプライドを踏みにじられた中学生時代。 うそと裏切りにまみれた恋に苦しみ、母に対する憎しみを覚えた高校生時代。 苦悩の海を越え、絶望の果てに訪れたその国で、少女を待っていたものは―――。 「 […]

水を縫う

「水を縫う」 作:寺地はるな 発行:株式会社集英社 ● 【第9回河合隼雄物語賞受賞作品】 松岡清澄、高校一年生。一歳の頃に父と母が離婚し、祖母と、市役所勤めの母と、結婚を控えた姉の水青との四人暮らし。 学校で手芸好きをからかわれ、周囲から浮いている清澄は、 かわいいものや華やかな場が苦手な姉のため、ウェディングドレスを手作りすると宣言するが――「みなも」 いつまでも父親になれない夫と離婚し、必死に […]

拝啓パンクスノットデッドさま

「拝啓パンクスノットデッドさま」 作:石川宏千花 発行:株式会社くもん出版 ● ――すべての若き読者どもに送る、「音楽×青春」小説!―― 高校1年生の晴己は、中学2年生の弟・右哉と多摩地区のはずれのはずれにある古アパートで暮らしている。 たまにしか帰ってこない母親の代わりに、アルバイトで生活費を稼ぎ、弟との生活を回していく晴己。 お金も、時間も足りなければ、明日だってくるかどうかわからない。 そん […]

青春ノ帝国

「青春ノ帝国」 作:石川宏千花 発行:株式会社あすなろ書房 ● 中学教師の関口佐紀は、帰宅準備をしていた職員室で、なつかしい人からの電話を受けた。 かつての同級生、奈良くんからの電話。 「久和先生が亡くなった」という知らせだった――。 佐紀が中学2年の時。 弟が通う「科学と実験の塾」の塾長が久和先生だった。 そして奈良くんは塾長のおい。 佐紀は鳥目の弟を迎えに塾に通っていたが、 いつしか塾長や奈良 […]

火狩りの王<一>春ノ火

「火狩りの王<一>春ノ火」 作:日向理恵子 絵:山田章博 発行:株式会社ほるぷ出版 ● 人類最終戦争後の世界。大地は炎魔(えんま)が闊歩(かっぽ)する黒い森におおわれ、 人々は結界に守られた土地で細々と暮らしていた。 最終戦争前に開発・使用された人体発火病原体(じんたいはっかびょうげんたい)によって、 この時代の人間は、傍で天然の火が燃焼すると、 内側から発火して燃え上がってしまう。 この世界で人 […]

てのひらに未来

「てのひらに未来」 作:工藤純子 絵:酒井以 発行:株式会社くもん出版 ● 琴葉は町工場の社長の娘。両親、弟、そして住み込みで働く天馬と暮らす。 工場は金属加工をしていて、医療機器から宇宙航空関連の部品まで、数ミリのものから大きなものまでつくっている。 父親はひと目見ただけで、ミクロン単位の誤差がわかるという。 琴葉は工場のことはあまり好きじゃないようだが。(女の子だからオイル臭いのはいやだろうね […]

廉太郎ノオト

「廉太郎ノオト」 作:谷津矢車 発行:株式会社中央公論新社 ● 瀧廉太郎の伝記小説である。 どこまで事実と符合しているのかわからないが、 とてもおもしろく読むことができた。 読書感想文コンクールの課題図書は、おもしろくないことがままあるが、 この本は高校生諸君だけでなく、大人が読んでおもしろい本である。 この本のすばらしさは、 筆者が音楽のことをよく知っているのだろう、と思われるところである。 た […]

しずかな魔女

「しずかな魔女」 作:市川朔久子 発行:株式会社岩崎書店 ● 草子は、学校には行かず図書館で時間を過ごしている。 不登校である。 草子は、深津さんという女性の司書さんと顔見知りになる。 その深津さんが草子にメッセージを渡す。 <しずかな子は、魔女に向いてる> 草子は、その言葉がのっている本をぜひ読みたいと思い、 深津さんに探してほしい、と頼んだ。 しばらくして、草子に大きな茶封筒が手渡される。 中 […]