旅する絵描き タブローの向こうへ
「旅する絵描き タブローの向こうへ」 作:いせひでこ 発行:株式会社文藝春秋
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いせさんの自伝的エッセイと、
原田マハ作「美しき愚かものたちのタブロー」につけられたイラストの組み合わせで(多分そうだと思う)構成された絵本である。
自分は、いせさんがテレビで「アクリル画の世界」という番組に出ていたのを見ており、
絵本も何冊か拝見した。
いせさんというと水彩画の印象がつよい。アクリル画も水彩の一種だ。
「大きいキャンバスにも描く」とあったので――油絵も描くのかな。
ちょっとその辺はわからなかったけど。
絵本のことについて書かれたところを長いけど引用してみる。
「絵本を描くとき、私は順番に描いたことがない。
描きたいシーン、描ける場面、絶対に見て欲しい風景や舞台、
鮮やかに心の中に見えているものから描く。
次第に手が遅くなり、思考につまり、なぜ、つながっていかないのか、何が邪魔しているのか。
固定観念や強すぎる理想、慣れや義務感もが、邪魔していることに気づく。
真っ白いキャンバスに初めの色をおく時の震えるような思いはどこへ行った?
絵の具を選ぶのは頭ではなく、きっと手なのだ。
そして、物語とは、作るものではないのだ。
やむにやまれず生み出されるものなのだと思う。
唾し歯ぎしりし歩いた跡から小さなお話の卵が産まれ、
やがて孵化し自力で育つもの。
語る必要ないことは勝手に削ぎ落とされ、気がつけば、
想像だにしていなかったテーマが浮かび上がってきて、物語と描けなかった絵を導いていく。
私の絵本はいつも、最後が見えないまま出発する旅そっくりだ。」
このブログも、最後が見えないまま書いていることがほとんどだ。
内容を決めて書くことは少ない。
文章を入力しながら考えている。
だから尻切れトンボなものが多い。
こんなブログを読んでいる人がいらっしゃることに、
大変申し訳ないほど、
書く態度としてはいいかげんだ。
それでも、なんとか「面白い本」を紹介したいという一心でやっている。
今日も読んでいただきまことにありがとうございます。
なんとかがんばって続けていきたいと思っています。
よろしくお願いいたします。
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