飛ぶための百歩
「飛ぶための百歩」 作:ジュゼッペ・フェスタ 訳:杉本あり 発行:株式会社岩崎書店
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中学を卒業したルーチョは、おばさんのベアと登山をしていた。
ルーチョは5歳から目が見えない。
しかしなんでも自分一人でやりたいという気持ちは強い。
その山で出会った少女キアーラ。
最初はなじめなかったが、ルーチョの明るい性格もあって、打ち解けて友だちになる。
キアーラは健常者だが、心を閉ざしぎみで学校でもなかなか友だちができなかった。
二人が山に登りながら互いの欠点を克服していく様子が、
ワシの密漁さわぎと並行して描かれる。
小学高学年用の読書感想文コンクール課題図書。
イタリアの児童図書というのが珍しい。(そうでもないですか?ピノキオくらいしか思いつかないんですが)
ルーチョのエピソードと並行して、ワシ(擬人化されてる)のエピソード、密漁者のエピソード、などが織り込まれてくる。
ちょっと気になったのは密漁者の部分で、これはいらないんじゃないかと思った。
あと最後にルーチョが「空を飛ぶ」ところがあるのだが、
自分は「え?自殺」かと思ってしまった。
あくまで「想像」のシーンだったのだが、がけから飛び降りるみたいな書き方がしてあって、そう感じてしまったのだ。
「飛ぶための百歩」を象徴するシーンだったのだが。
ページも少なく、むずかしいところもまあないので、読みやすいことは確かだ。
ただ障害者をテーマにしているわりに突っ込みが甘いような気もするのであった。
大人が読む、という意味ではものたりないかな、というのが率直な感想です。
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