アルフレッド王の勝利

アルフレッド王の勝利

「アルフレッド王の勝利」 作・絵:C.W.ホッジズ 訳:神宮輝夫 発行:株式会社岩波書店

紀元9世紀,イングランド南部.アルフレッド王は,攻めよせたバイキング軍の王を包囲したが,慈悲をもって彼を逃がした.が,それがあだとなり,部下の裏切りを招く.『アルフレッド王の戦い』の続編.

(岩波書店ホームページより)

「アルフレッド王の戦い」の続編。
最初前作と重なる部分のおさらいをして、その先のデインとの戦いを描く。
アルフレッド王がデイン軍に取り囲まれて、絶体絶命のピンチにおちいるところから物語が急加速して、
最後の決戦まで怒涛のように物語が運んでゆく。
前作のような気の利いたセリフが見当たらなかった感じだった。
アルフレッド王はじめ、アングロサクソンの人々は、キリスト教の信仰が厚く、
デイン人の異教徒と対立する。
この戦いは宗教の戦いでもあるのだ。
今もって宗教上の争いは絶えることがない。
最後、戦いに敗れたデイン人の頭領たちが、キリスト教の洗礼を受ける。
お話としては「キリスト教の勝利」という形なのである。
そこには「キリスト教こそ唯一無二の宗教だ」ということを言いたいのだろうと思わせるものがある。
このことは歴史上事実らしくこう書くしかないのだが、
なんか「キリスト教はすばらしいんだ」と子どもに語るってどうなのかな、
とイギリス人でない日本人のわたしは、ちょっと押しつけっぽく感じたわけです。

まあ全体として歴史小説としておもしろく、おすすめはできる一冊です。

 

“THE MARSH KING” by C.Walter Hodges(1967)