スペシャルQトなぼくら
「スペシャルQトなぼくら」 作:如月かずさ 発行:株式会社講談社
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Q=クエスチョニング。自分の性別が男か女かわからない。
自分が好きになる相手が異性か同性かわからない。
だけど、どっちかわからなくたって、ぼくらはぼくらの好きなものが好き!!
中学2年のナオが塾帰りに目撃したのは、女子のようにメイクをして、かわいい服で街をあるく学年トップの優等生・久瀬の姿。
そのときから、自分のことをごく普通の男子だと思っていたナオの心に、ある願いが生まれて…。
Qでキュートなふたりが織りなす、おしゃれと恋と特別な絆の物語。
講談社児童文学新人賞でデビュー、ジュニア冒険小説大賞、日本児童文学者協会新人賞受賞作家で幼年童話からYA作品まで幅広く執筆する如月かずさ氏の最新作。
LGBTQのQ、クエスチョニングをテーマにした青春小説。
(講談社HPから)
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男の子が、女の子の服を着て、メイクして、街を行く…なんて感じかな?
その中でナオくん(とユエくん)が人間的に成長していく物語、ということでしょう。
ネタバレになってしまうのであまり書けませんが、この人間的に成長していく、というのがこの本の肝です。
ナオくんは子どものころ、女の子とよく遊んだ経験から、女の子っぽいアイテムが好きでした。
今の自分は、本当は女の子っぽいものが好きなのに、それを押さえつけている。
だからユエくんが女の子らしい姿に変身しているのを見て、自分の中の押さえつけられていたものが噴き出してきた。
かわいいものへのあこがれが再燃してきた。
(まあそれだけじゃなかったんだと、最後まで読むと感じますが)
自分らしく生きる。
自分の好きなものを好きだと認める。
うーん、大人への第一歩だね。
ましてクエスチョニングなんて子どもの考えじゃないと思う。
だからこの本は子どもから大人への階段を上りつつある少年の物語、だと思いました。
ユエくんにはユエくんの事情があって、ナオくんとかみ合わないところもあるけど、
それを乗り越えていけるかどうか、そこは読者が考えていかなきゃいけないんだろうね。
それにしても、この本誰が読むのか。
ピンク色の表紙だし女の子かな?
ナオくんのように悩める男の子が読むのか?
子どもの本に興味のある大人が読むのか?
やっぱり大人が読むのかねえ。
「…そっか。いくら悩んでもわからないことは、わからないままにしておいてもいいんだよね」
なかなかいいセリフです。
“A special “Q”te relationship” by Kisaragi Kazusa(2022)