<読む>という冒険
「<読む>という冒険 イギリス児童文学の森へ」 作:佐藤和哉 発行:株式会社岩波書店(岩波ジュニア新書)
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ロビンソン、アリス、プーさんにナルニア……あの名作たちは、本当は何を語っている?
「作者の言いたかったこと」と同じくらい、「作者が言おうとしたわけではないこと」もおしゃべりかもしれない。
本のページは冒険の扉、言葉や文は未知の森。
あの物語を「いま」のあなたが読む意味とおもしろさ、体験してみませんか。
(カバー裏より)
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イギリス児童文学の大いなる森の中から、7作品を選んで「深読み」した本。
特に「歴史的」に深読みする部分が主になっていると思う。
だからイギリスの植民地政策や第一次・第二次大戦の影響が、作品にどう反映されているかが、
深読みされている。
政治的・社会的背景は、児童文学であっても避けて通ることはできない、ということか。
いずれにせよ、われわれが普通に読書するうえでは、ここまでの深読みはむずかしいと思う。
「解説」を読んで初めてそこまでの内容に到達できるのではないか。
普通に読む分には、その物語の世界の中だけで止まってしまう。
そこをもう少し突っ込んで読めるようにしましょう、とこの本は提案しているわけだ。
別な言い方をすれば、文学作品は文字で書かれた部分以上の内容を読み取ってほしい、
という意図で書かれている、ということかな。
そんなことを考えるきっかけとして、この本が書かれたのだと思いました。
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