アーニャは、きっと来る

アーニャは、きっと来る

「アーニャは、きっと来る」 作:マイケル・モーパーゴ 訳:佐藤見果夢 発行:株式会社評論社

第二次世界大戦中のフランス。
スペインとの国境近い静かな山間部の村が舞台。
羊飼いの少年ジョーは、ある日山の中で見知らぬ人とめぐりあい、ナチスの迫害をのがれたユダヤ人とかかわりを持つことになります。
スペインに逃げようとしている12人の子どもたちを―手を貸すことに賛成の人も反対の人も―村人たち全員がドイツ兵から守ろうとします。
作者のモーパーゴは現代イギリスを代表する児童文学作家。
戦争の悲惨さと、人間の力強さを訴える作品を多く発表しています。
WaitingforAnyaのタイトルで映画化されました。

(評論社ホームページより)

モーパーゴさんは戦争物が得意。
というわけで、ナチスドイツが占領したフランスの田舎が舞台。
ピレネー山脈の麓、スペイン国境に隣接する村レスキュン。
羊飼いの少年ジョーは、クマに出会ったことがきっかけで、ユダヤ人の男と知り合いになる。
その男ベンジャミンは、同じユダヤの子どもたちをかくまっていて、
スペインにその子たちを逃がしてやろうと考えていた。
それともうひとつ大事なことは、ベンジャミンの娘のアーニャのこと。
パリからレスキュンへ2人で逃げてきたのだが、途中で生き別れてしまったのだ。
ベンジャミンは、アーニャは必ずここへ来る、と信じていた。
紆余曲折あって、子どもたちを逃がすため、村総がかりの作戦が決行されるのだが…。

ストーリーがおもしろく、ページ数も少ないのですらすら読めます。
もちろんフィクションですから、幸もうまくはいかないと思いますが。
主人公のジョーは秘密を守れる、とてもえらいやつで、父親がいない家をしっかり支えています。
ジョーが何歳なのかよくわからないのですが、…中学生ぐらいなのかな?
いろんなことがわかってくる年ごろで、まわりに気を使って悩んだりするところがなかなかいいですね。
他に出てくる人たちもみないい人で、ドイツ人の伍長もとてもいい人なんです。
でも戦争だと、完全になかよくはできないですよね。
そこがこの本のユニークなところでしょうね。
伍長とジョーの友情、そこもこの本のみどころです。

映画にもなっています。読書感想文の課題図書にもなりました。
まあいい本だと思います。
唯一、表紙のタイトル文字や挿画はいまいちだと思います。
ぜひお読みください。

 

“WAITING FOR ANYA” by Michael Morpurgo(1990)