秘密のノート
「秘密のノート」 作:ジョー・コットリル 訳:杉田七重 発行:株式会社小学館
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モノマネが得意な少女の成長物語
クラス一のお調子者ジェリーは、人のモノマネが得意で、いつも先生のモノマネをしてクラスメートを爆笑させていた。
そんなジェリーの悩みは、トドのような太った体型。男の子たちからは毎日のように、からかわれたり悪口を言われたりするが、いつもギャグでかわして、笑い飛ばしていた。
でも、家に帰ると、本当の気持ちをノートに書き付けていた。
この秘密のノートにつづった詩が、真のジェリーの姿だ。
学校恒例のタレントショーで、ジェリーは代表となり、コントを披露することになる。今年こそ優勝間違いなしと噂されるが、いつもの悪ふざけが過ぎて、出場できなくなってしまった。
そんなとき、母親の新しい恋人のミュージシャンと知り合うことで、ジェリーの中で、少しずつ変化していく。
ジェリーは、タレントショーに出場できるのか?
少女の心の成長を描く爽やかな学園物語。
〈 編集者からのおすすめ情報 〉
『レモンの図書室』のジョー・コットリルの新作。前作は、お母さんが亡くなって、お父さんの面倒を見ていた健気な少女の感動物語で、多くの読者を獲得しました。少し悲しい物語でしたが、今回は、底抜けに明るい少女の物語です。
思春期に誰もが抱える悩みを爽やかに描きます。
本当の自分をどう表現するか?普遍的なテーマです。
(小学館HPより)
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ひょうきんで、ものまねが得意。スポーツも得意。
でも太ってる。
人一倍人の目を気にする。
だからついついギャグで自分をとりつくろってしまう。
そんな彼女が、自分の本心をさらけだせるのがピンクの「秘密のノート」。
そこに彼女は自分の気持ちを詩にして書いている。
それこそが彼女の本当の姿。
このノートはだれにも見せない、はずだった。
そのノートを、「信頼できるおとな」の、母のボーイフレンドのレノンに見せる。
彼は彼女の詩に深く感動し、曲をつけて歌いたい、と提案する。
それがもとで彼女の運命が変わってゆく…(ちょっとおおげさかな)
女子のいろいろ大変な心の動きを、ていねいに追っていった作品です。
生理のこととか、男子にはよくわからないので、とても勉強になりました。
子どもたちにも読んでもらいたいし、
大人も読んで、子どもたちの理解を深めていってほしい、そんな一冊です。
とてもおすすめしたいです。
「これがわたし? これがあなた? これでいいの?
まるでクモの巣のように
うそをぴっしりはりめぐらせる
どうか瞳を見られませんように
心の奥をのぞかれませんように
ジョークを飛ばして人を笑わせ
落ちこんでるなんて思わせない
いやなことは全部心の奥に閉じ込めて
悲しいことなんてないふりをする
だって、わたしは明るいピエロ
顔で笑って心で泣いて
わたしが笑えば、みんなが笑う」
ジェリーがみんなの前で歌った歌からです。
“JELLY” by Jo Cotterill(2018)
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