縄文の狼
「縄文の狼」 作:今井恭子 絵:岩本ゼロゴ 発行:株式会社くもん出版
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狼と人とは住む世界が違った。父さんたちが、こえてはならぬ一線をあえてこえたのは…。
赤ん坊のころ狼にさらわれ、狼とともに育った少年キセキ。
1万年以上前の縄文時代に繰り広げられる、少年と狼たちの絆と進化の物語。
(hontoより)
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「こんぴら狗」を書いた今井さんが、なんと縄文時代を舞台に、
狼少年(というにはちと大げさかとは思うが)と狼犬(半分狼の血が入っているのだ)の冒険を描いた物語だ。
キセキは、生まれて間もなく狼にさらわれ、父親たちが狼の巣から救出してもらったという過去を持つ。
救出したときにいっしょに狼の子も連れてきた。
その狼と犬の間に生まれたのが、狼犬のツナグ。
キセキとツナグはよい相棒だった。
そのひとりと一匹が、丸木舟に乗って海に流され、
仲間と離れて、定住者たちの住む海辺のムラで生活することになるのが、物語の後半部分で、
肝になる部分である。
ムラでキセキは、盗人と一つ屋根の下で暮らしたり、のちに妻となる少女アオバと出会ったりする。
遊動生活とは違う暮らしに慣れてはきたが、やはりキセキは元の仲間のもとへ、母のもとへ帰ることを決断する。
キセキとツナグ、そしてアオバは故郷に向けて出港した――。
歴史的に正しいかどうかは置いといて、とりあえずおもしろい本でした。
キセキはいろいろ悩んだりしますが、まわりの人たちに助けられてまっすぐに育っていく。
その姿がとてもすがすがしく感じました。
「いかに今日生きていくか」というぎりぎりの状態で毎日苦闘しながら、のぞみを持って生きていくことは、
現代ではなかなかないことですが、そんな暮らしを太古の人たちがしていたんだと、
子どもたちにはわかってほしいものです。
もちろん大人も太古のロマンにひたってみてはいかがでしょうか。
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