ふしぎをのせたアリエル号

ふしぎをのせたアリエル号

「ふしぎをのせたアリエル号」 作:リチャード・ケネディ 訳・絵:中川千尋 発行:株式会社徳間書店

おおざっぱに言えば、宝探しのお話なんですが。
そこに、「人形が人間(や動物)に変わり、人間が人形に変わる」という不思議な現象?が組み合わさって、
なんとも不思議な物語が展開していきます。
アリエル号の船長「キャプテン」は、エイミイの父親がつくった人形が人間になった人で、
キャプテンが持っている女の子の人形が、もともとはエイミイだったのであります。
ちなみにアリエル号のクルーは、一人をのぞき人形が生きた動物や人間になったもので、
当然のように人間の言葉をしゃべり、理解します。心も人間並みです。
まあずいぶん無茶な話ですが、ここを「変だな」と思わずに読み進めていくと、
ストーリーはとてもおもしろく、つぎつぎと起こる事件に息つく暇もない、といった感じです。
「子どもから大人まで楽しめる」という触れ込みは伊達ではありません。
600ページ以上ある本ですが、すらすら読めます。

で、ラストなんですが、悲劇が待っています。
内容は本編を確認していただくとして、自分はこんな風にしなくてもよかったじゃないか?とも思いました。
まあめでたしめでたしにしなかった、というのがこの本のすごいところかもしれませんが。

とにあれ大人でも楽しいこの本は、おすすめの一冊になりました。
ぜひお読みください。

 

“AMY’S EYES” by Richard Kennedy(1985)