オール・アメリカン・ボーイズ

オール・アメリカン・ボーイズ

「オール・アメリカン・ボーイズ」 作:ジェイソン・レノルズ、ブレンダン・カイリー 訳:中野怜奈 発行:株式会社偕成社

黒人の少年ラシャドはポテトチップスを買いに行った店で万引きを疑われ、
白人の警官から激しい暴行を受ける。
それを目撃した白人の少年のクインは、
その警官が友人の兄のポールだと気づき現場から逃げた。
事件の動画がテレビやネットで拡散し、
ラシャドとクインが通う高校では抗議のデモが計画され、
二人はそれぞれに揺れ動く自分の心をみつめることになる。BRENDAN

帯に「BLM」(ブラックライブズマター)とあるように、
黒人への不当な虐待が投げかける波紋を、
黒人の被害者と白人の目撃者という二人の視点から描いた作品です。
動画が拡散する、とかSNSとかいかにも今の物語であります。
法律を守る立場の警官が、黒人への偏見から過敏に反応して、
無実の黒人に暴力をふるう。
差別はいけない、ことはわかっているんでしょうが、それでも根強く残っているんですね。
白人のクインはこの事件を目撃して強い違和感を覚え、最後は抗議デモに自ら率先して参加する。
黒人差別にNOと表明する。

日本でも外国人に対する差別がある、と思うので決して他人事ではない、という問題意識で
この本を読んでほしいと思う。
差別のない世界であることを切に願うものであります。

 

“ALL AMERICAN BOYS” by JASON REYNOLDS & BRENDAN KIELY(2015)