サンドイッチクラブ
「サンドイッチクラブ」 作:長江優子 発行:株式会社岩波書店
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中学受験に向け、2つの塾かけもちで夏期講習にいそしむ桃沢珠子。塾で別の小学校の優等生羽村ヒカルと知り合う。
そのヒカルは、珠子に「黄金のシャベルを奪還する手伝いできる?」と謎の誘い。
ヒカルは公園で砂像づくりの勝負をしていたのだ。
物語は、勉強が苦手で「何か作ることが好きな」珠子と、特異なキャラを持つヒカルが、
「サンドイッチクラブ」を結成して砂像づくりに挑む姿を描いていく、二人の友情物語だ。
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砂像は大雑把に形を作って、細かく削って作っていく。
水を混ぜたりするのがむずかしそうだ。
「サンドイッチクラブ」というタイトルと砂像づくりがマッチングしてないかなあ、とは思う。
(「サンドイッチクラブ」は羽村のハムと珠子のタマゴというあだ名からきている)
ヨーロッパの難民問題や北朝鮮のミサイルの話とか出てきて、
ちょっと社会派のにおいもする。
ヒカルが、「アメリカの大統領になりたい」という壮大な夢を持っている、っていうのは
この世から戦争をなくしたいんだ、と。その願いはおばあちゃんの戦争体験(本当はうそなんだが)
からきているのだ。
「大統領になったら、戦争のない世界を作りたい。
すべての国境をなくして、地球をひとつの国にしたい。
不幸な人がもっと不幸に、貧しい人がもっと貧しくならないようにしたい。
世界があたしを置きざりにするつもりなら、ダッシュして先頭に立ってやる」
さわやかな後味がよい。
子どもも大人もおすすめできる一冊だと思った。
ぜひご一読を。
“Sandwitch Club” by Nagae Yuko(2020)