天使のにもつ
「天使のにもつ」 作:いとうみく 絵:丹下京子 発行:株式会社童心社
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中学2年の斗羽風汰は、恒例の職場体験実習で、「楽そうな」保育園へ行くことになった。
が、当然のことながら、保育園、そんなに甘くはない。
元気いっぱいの子どもたちの相手をするのは、並大抵のことではない。
しかも雑用(?)も山のようにある。
そんな風汰になついてきた「しおん君」。
四歳の彼は昼寝もせず、友だちとあまり遊ばず――
風汰はしおん君のことが気になり始めたのだが……。
はやり?ってわけでもないだろうが、職場体験ものである。
風汰はちょっとおうちゃくな中学生、という感じで読み手はとっつきやすそうだ。
この「ちょっとおうちゃく」なところが、子どもたちにアピールするんだろう。
子どもたちは風汰のことが好きになる。
「しおん君」は、母親から虐待を受けているのではないか、と疑われているが、
それは風汰にはどうすることもできない。
まあしょせん5日間の職場実習だから。
「オレはなんにもしてやれない。なにかしてやれるほど、大人じゃない。
なにが正しくて、なにをすることがこいつのためになるのかもわからない。
守ってやる力なんてない。
だいたいオレ、アホだし。
でも、いまこの瞬間にしてやれることだったらわかる。
いまできることは、笑って、しおん君が握ってきた小さな手を、しっかり握り返す。それだけだ。」
風汰はたった5日間で、大きなものを得た。
読者も風汰の姿から勇気づけられるところがあるだろう。
まあ、大人はちょっとものたりないかな、とは思いますが。
“Tenshi no Nimotsu” by Ito Miku(2019)
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