バウムクーヘンとヒロシマ
「バウムクーヘンとヒロシマ ドイツ人捕虜ユーハイムの物語」 作:巣山ひろみ 絵:銀杏早苗 発行:株式会社くもん出版
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洋菓子のユーハイムといえば私でも知っている有名菓子店だ。
そのユーハイムさんが日本で初めてバウムクーヘンを作ったそうである。
しかしそこには秘められた話が…。
ドイツ人のユーハイムさんは第1次世界大戦で捕虜として日本に連れてこられた。
広島県の似島収容所に入ったユーハイムさんは、
戦争が終わったのち、「捕虜による作品展覧会」でバウムクーヘンを焼いた。
その時日本人が喜んでバウムクーヘンを食べてくれたことに気をよくしたユーハイムさんは、
日本でドイツ菓子の店を出した…。
ちなみにユーハイムさんが「展覧会」を行ったのは広島市の物産陳列館。
のちに産業奨励館と名前を変え、
昭和20年8月6日を境に原爆ドームと呼ばれることになった。
物語は、現代の子どもたちが似島でキャンプをしながら、ユーハイムさんの作ったバウムクーヘンを試作するという
体験と、秘められた歴史を学ぶことで、戦争や原爆のことを考えていこうとする。
著者が、ニュースでバウムクーヘンが日本で初めて販売されたのは原爆ドームだった、とやっていたのを見て、
この物語になった、とのことである。(著者は広島出身)
バウムクーヘンをきっかけにして、平和を考えることができる良書。
大人も勉強になります。
“Baumkuchen to Hiroshima” by Suyama Hiromi(2020)