ほんとうの願いがかなうとき

ほんとうの願いがかなうとき

「ほんとうの願いがかなうとき」 作:バーバラ・オコーナー 訳:中野怜奈 発行:株式会社偕成社

父さんが暴力沙汰で拘置所に入り、母さんは精神的に不安定で育児拒否。
二人の子どもは、別々の家に引き取られた。
お姉さんは友だちの家へ、そしてわたしチャーリーは会ったこともないおばさんの家へ…。
おばさんの家は、山の中のとんでもない「いなか」。
街暮らしのチャーリーは、拒否感ありあり。
そんなチャーリーは、いろいろなものやことにつけて、願いごとをする。
彼女の願いごとってなんだろう?

「自分がチャーリーみたいな目にあったらかなわんなー」
なんて思いながら読み始めました。
読んでいくうち、おばさん夫婦が子どもがいないにもかかわらず、
子育てに理解のある人たちで、
チャーリーにとってはとてもよかったのです。
友だちができたり、飼い犬ができたりして、
チャーリーは田舎の生活がじょじょによくなってきます。
決定打はお姉ちゃんの来訪で、
チャーリーはお姉ちゃんが街にいることがうらやましかったのですが、
それに対してお姉ちゃんは、「ここのほうがいい」と言うのです。
チャーリーはまだ納得しませんでしたが。
最後には、チャーリーが気づくのです。
自分が「家族」を求めていたこと。
そして、それがおばさんたちの家にあったことを。

チャーリーの心の動きが一人称で、すなおに描かれていきます。
めでたしめでたしで終わるので読後感がよいです。
この非常時に読むのはどうかな?
まあいいんじゃないでしょうか。
おとなも十分楽しめる一冊です。

“Wish” by Barbara O’Connor(2016)