この海を越えれば、わたしは

この海を越えれば、わたしは

「この海を越えれば、わたしは」 作:ローレン・ウォーク 訳:中井はるの・中井川玲子 発行:さ・え・ら書房

マサチューセッツ州ウッズホール沖
エリザベス諸島
1925年――

12歳のクロウは、赤ん坊の時、ハンセン病の隔離病棟があったペニキース島から流されて、
オッシュのもとへやってきた。小島に一人暮らす男のもとへ。
ある晩、クロウはペニキース島で火が燃えているのを見た。
それを見て、クロウは自分がどこから来て、なぜ流されたのか、突きとめるときが来たのだと思った。
そのことがどのような結果をもたらすかも知らず…。

「その年、わたしは嘘をおぼえた」に続く第2作。
前も重かったけど、これも重いです。
ハンセン病、ですからね。
まあクロウはハンセン病、というわけではありませんが。
ただ世捨て人になっちゃってます。
(オッシュがそうだから)
学校も通ってないし。
それでも、ミス・マギーという理解者もいて、
それなりの学力はあります。
でもって、自我の目覚め、でしょう。
過去のこと、自分のルーツを知りたくなる。
オッシュやミス・マギーとともにペニキース島へいく。
島は、ハンセン病の施設があるんですが、いまはもう使われていない。
ところが、島はかつて海賊が宝を隠したところらしい。
その宝をねらって、怪しげな男が現れる。
自分のルーツと海賊の宝。
相異なるかに見える二つの要素が、重なり合うとき、
クロウに危機が訪れる!

海賊の宝が出てこなかったら、
かなり退屈な物語になった感あり。
子どもたちがこれを読んで楽しめるだろうか?
ハンセン病のことに思いを致すようになるのか?
うーん、やっぱりこの本はある程度理解のある大人が読む本じゃないかな、と思いました。
大人もハンセン病を十分理解してないと思いますし。
この本をきっかけにハンセン病理解を深める、ということでどうでしょうか。

“BEYOND THE BRIGHT SEA” by Lauren Wolk(2018)