一富士茄子牛焦げルギー
「一富士茄子牛焦げルギー」 作:たなかしん 発行:BL出版株式会社
●
おとんが初夢で妙な夢を見た。
牛のように大きな茄子牛(足が生えてるんだな)に乗って富士山に行く。
おとんは富士山に、なぜか持っていた餅をやると、富士山はうまそうに食った。
富士山は何か願い事はないか、とおとんに尋ねたので、
おとんは「餅が焦げないようにしてください」と願う。
いつも焼餅を焦がしてしまっていたのだ。
願いはなんとかなえられ、日本中の餅がこげなくなった。
願い事はもう一つできる、そうだったのでおとんは息子がお願いをします、と答えた。
で、僕の番。
しかし、なにをお願いすればよいのか?
思い余って、死んだおかあさんを生き返らせてほしいと願おうとするが…。
●
最初は「ナンセンスもの」かと思っていると、
おかあさんが出てくるあたりからにわかにシリアスな展開になってきて、
涙あり、笑いありのナニワ人情喜劇(?)といったおもむきになります。
なんでも作者のおばさんが、この物語のおかあさんのように、
交通事故で亡くなっていて、その体験がこの物語に反映されたようです。
とは言えそんなにしかめ面して読むような物語でなく、
楽しんで読めばいいのだろうとは思いました。
まあ、(もう過ぎてしまいましたが)この物語がお正月が舞台でしたので、
お正月の初読書なんかによさそうです。
おとなも十分楽しめますよ。
“Ichifuji Nasuushi Kogerugii” by Tanaka Shin(2019)
-
前の記事
ぼくがいちばんききたいことは 2020.06.02
-
次の記事
明日をさがす旅 故郷を追われた子どもたち 2020.06.27