もうひとつの曲がり角

もうひとつの曲がり角

「もうひとつの曲がり角」 作:岩瀬成子 発行:株式会社講談社

新しい家に変わって、転校早々英語教室に通わされることになった朋。
たまたま英会話スクールと郵便局の間の道に入り、
T字路を曲がると…。
そこは時を越えることのできる道だったのである。
時を越えて出会った「みっちゃん」と友だちになった朋。
「みっちゃん」と朗読をする老女「オワリさん」との意外な関係とは?

ミステリーみたいな書き方をしてしまいましたが、
まあ謎うんぬんよりは、朋の内面の成長を描いていく物語です。
しかし、小学5年生にしてここまでの考えを女子は抱くんでしょうか?
というかそれが普通で、あんたがぼーっとしてるってことか。
まあそうだろうね、自分はずっとぼーっとして生きてきたもんね。
そこいくと朋ちゃんはずっと大人だと思える。
こんな一節があって、とてもすごいと思った。

「小さかったとき、わたしはすぐに泣いていた。くやしいような気もちが爆発することもあったし、
思っていることがわかってもらえなくて泣いたこともあった。
でもたいていは、いろんな気もちがただこちゃごちゃするばかりだった。
体のなかではいろんな気もちがからまりあっていて、なにかいいたいと思っているのに、
とてもじゃないけどどんなふうにもいえなくて、しかたなくて泣いていた。
泣いているときは、体がばらばらに砕けていくような気がしていた。
胸のなかに穴があいてしまったような感じだった。
どろどろのかたまりが自分の内側から自分を溶かしはじめているような気もちだった。」

小さいころからばらばらどろどろの気もちと戦っているなんて!
女の子ってすごいですね!
男はもっと単純ですよ!

子どもたちはこういう描写を読んでどう思うんでしょう?
感想を聞いてみたいものです。

まあなんにしても、子どもより大人が読んでおもしろい本のような気はしました。

“Mouhitotsu no Magarikado” by Iwase Joko(2019)