きつねの時間

きつねの時間

「きつねの時間」 作:蓼内明子 絵:大野八生 発行:株式会社フレーベル館

小学6年生のふみは、ママと二人暮らし。
料理が得意でママをうならせることしばしば。
ある日、ママがふみの父親が生きていることを知らされたことから、
二人はけんかになってしまう。
冷戦状態が何日も続く。
そんなとき、ふみは通っていた幼稚園の先生から、
「おかあさんに幼稚園の壁に絵を描いてほしい」
と頼まれる。(ふみのママは画家なのだ)
ママは幼稚園で絵を描きはじめる…。

「きつねの時間」とは、インドカレーをつくるとき、
玉ねぎとスパイスを15分炒める時間のことだそうだ(ふみがそう呼んでいる)。
15分…けっこう長いね。

ふみとママの関係も「きつねの時間」のようにじっくりとつくられてきたんだね。
でもそれがお父さんのことで波が立つ。
ふみにしてみれば、会ったことのないお父さんにぜひ会いたい。
ママは…たぶん思い出にしまっておきたいんだろうね。
かみあわない二人を、とりわけふみを癒してくれるのは、
友だちだったり、幼稚園の先生だったり、画廊のおじさんだったり。
周りの人なんだね。

ってことで、最後は仲直りしてほのぼのとした母と子の時間がもどってきます。
あたたかい気持ちになれるお話です。
小学生向け…という感じじゃないなあ。
やっぱり大人向けの本じゃないかなあ。

“Kitsune no Jikan” by Tatenai Akiko(2019)