しずかな魔女

「しずかな魔女」　作：市川朔久子　発行：株式会社岩崎書店

●

草子は、学校には行かず図書館で時間を過ごしている。
不登校である。
草子は、深津さんという女性の司書さんと顔見知りになる。
その深津さんが草子にメッセージを渡す。
＜しずかな子は、魔女に向いてる＞

草子は、その言葉がのっている本をぜひ読みたいと思い、
深津さんに探してほしい、と頼んだ。
しばらくして、草子に大きな茶封筒が手渡される。
中には、白い紙の束。
それは、深津さんが書いた物語。
題名は『しずかな魔女』。
それは、ふたりの女の子の、まぶしい夏休みの物語だった。

●

草子が読んでいる、「しずかな魔女」を読者も読む、という形式のお話です。
「しずかな魔女」の中では、おとなしい友だちのいない野枝と、活発なひかりが、
楽しく夏休みを過ごすようすが描かれていきます。
そして、「しずかな子は、魔女に向いてる」。

草子は、「しずかな魔女」の感想を書いて、深津さんに渡します。
話すのが不得意な草子は、文を書くことで饒舌になれることを発見します。
自分の思いを文章にできる、これはりっぱな魔法です。
草子は、魔女に向いてるんでしょうね。

不登校の子がこの本を読んで勇気づけられる、かどうかはわかりません。
まあでも、ちょっとだけ気が楽になるといいなあとは思いますが、
野枝とひかりが楽しく遊んでるところは、やっぱりいやなのかなあ。
いろいろな人がいる中に、不登校を選んでしまう人もいるわけで、
そんな人も受け入れるような社会だといいんでしょうが、
現実は厳しいでしょうね。
草子を受け入れてくれる図書館、そんなところがあるといいですね。

“Shizukana Majyo” by Sakuko Ichikawa(2019)