きみの存在を意識する

きみの存在を意識する

「きみの存在を意識する」 作:梨屋アリエ 発行:株式会社ポプラ社

本を読むのがおそろしく遅いひすい。
女にも男にも分けられたくない理幹(りき)。
字がまともに書けず、パソコンを使えないかと訴える心桜(こはる)。
ひすいの弟…といっても血はつながっていない、養子の拓真。
優等生で学級委員長だが、過食ぎみの小晴(こはる)。
それぞれに問題をかかえた中2の5人の、
5者5様の生きざま(!)を、
その内面から活写する(!!)。

最近はやりの群像もの、連作短編集になります。
5人はそれぞれに生きづらさを抱えており、
また彼らを取り巻く人々も、ひとくせもふたくせもあって、
そのために悩んだり苦しんだりしています。
そんな彼ら、(男は一人か)、彼女らの内面を、
鋭く描いていく、
そんな物語です。
あとがきにもあるように、本を読むのがおそかったり、字を書くのが苦手といったことは、
作者の実体験にもとづいているそうで、なるほど、とうなずかされます。

『生きてようね。みんな、死なないで、生きていてね。』
作中で、心桜が書いた言葉です。

中学生のみなさん、まわりに自分の悩みを聞いてくれる人がいますか?
いや、きっと聞いてくれる人がいますよ。
勇気を出して、声を上げてみましょう。
誰かがきっと、話を聞いてくれます。

ということで、なかなかいい本でした。
梨屋さんの他の本も読んでみたいですね。

そうそう、梨屋先生、「UDフォント」、見やすいと思いましたよ。

“Kimi no Sonzai wo Ishiki Suru” by Nashiya Arie(2019)