羊の告解

羊の告解

「羊の告解」 作:いとうみく 発行:株式会社静山社

ある朝、いつものように学校へ行く準備をしていた時、
うちに刑事がやってきた。
おとうさんが刑事に連れていかれた。
――おとうさんは人を殺してしまったのだ。
その日から涼平と家族の苦難がはじまる。
家には住めなくなり、
両親は離婚をして名字が変わり、
せっかく作り上げてきた人間関係もくずれてしまう。
それでも生きていかなければならないのだ。

「自分の父親が殺人を犯してしまった。その時残されたぼくはどうすればいいのか」
というとんでもないテーマのお話です。

自分ならそんな目には絶対にあいたくない、ことに会って、
精神的に追いつめられて、自暴自棄になりながら、
それでも周りの人たちの理解(無理解もありますが)で、
少しづつ人間的に成長していく、そんな内容です。
現実はたぶんこの本よりずっと厳しいと思いますが、
こんな目にあわないように、と願って読みたいものです。

で、いまさらですが、「大渋滞」もいとうみくさんでしたね。
どちらも主人公の心理がていねいに描かれていました。
そこんところに注目して読むとよろしいかと思います。

“Hitsuji no Kokkai” by Miku Ito(2019)