ネッシーはいることにする

ネッシーはいることにする

「ネッシーはいることにする」 作:長薗安浩 発行:ゴブリン書房

「あたらしい図鑑」から2年――
中三の五十嵐純は、所属の野球部が地区予選敗退。
いきなり予定外の夏休みがやってきた。
詩人の村田さんの三回忌法要の招待。
ベトナムに単身赴任中の父からのメールに衝撃を受け、
ベトナム戦争について調べ始める。
そして幼なじみの智幸とのちょっと危ない(?)つきあい。
純は、人生の曲がり角を生きていく…。

「あたらしい図鑑」は読んだんだけど――
もう忘れちまったよ。
でも、どちらも夏休みの物語ですね。

中三にして完全に「カマブタ」になってしまった智幸くんがいい味を出しています。
純としては、智幸君は「知らなかった世界を知らせてくれる人」。
純にとってはとても大切な友だちになりました。

お父さんがボランティアで、枯葉剤の後遺症に悩む人たちに会った時の写真に衝撃を受けた純。
それをきっかけにして、手にした開高健の「ベトナム戦記」。
そこにのっている写真にまた衝撃。
それが純の運命を大きく変えていきます。

ベトナム戦記にしてもそうですが、LGBTとか、法事で酒飲んじゃったりとか
中3には重い主題が多い感じがしました。
実際の中3はもう少し子どもっぽいのではないかと。
まあ、この本を読む子どもたちは少し背伸びしている子どもたちかもしれません。
というか、
この本は大人に向けて書かれた本なのかもしれませんね。
大人のほうがこの本のニュアンスを理解しやすいように思います。
まあ、こういう本があってもいいんじゃないでしょうか。

“Nessie wa Irukotoni Suru” by Yasuhiro Nagazono (2019)