八月のひかり
「八月のひかり」 作:中島信子 発行:株式会社汐文社
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八月、夏休み――
海だ山だプールだと浮かれている子どもたちとは対照的に、貧しさの中で家事に忙殺される子どもたちがいる――
5年生の美貴もそんな子供の一人だった。
母と弟、自分の三人暮らし。
母はスーパーで働いているが、給料が安く、毎日の食べるものにも困っている状況。
安いキャベツを使って、美貴は今日も料理を作る。
カレーキャベツだったり、マヨネーズ和えだったり、納豆キャベツだったり。
いつになったら、おなかいっぱいごはんが食べられるようになるのか…。
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最近多いのか、これも貧困の子どもをテーマにした小説です。
美貴たちの貧しい生活が、否定的でなく、
たくましく描かれていると思いました。
キャベツを使った様々な料理は、とてもリアルで、
実際にやっている人の取材をしたのかと思われるほどでした。
料理以外でも、貧しい生活の描写はなかなかリアルでした。
エアコンは寝るまえの1時間だけとか、
シャワー浴びながらその湯で洗濯するとか。
作者の中島さんは、この本が20年ぶりに書いた児童文学作品だそうです。
もう70歳を超えてみえるようです。
「Tシャツ」を「ティーシャツ」と表記して見えるのがご愛敬で。
大人も子どももぜひお読みください。
“Hachigatsu no hikari” by Nobuko Nakajima(2019)
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