ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ
「ザ・ヘイト・ユー・ギヴ あなたがくれた憎しみ」 作:アンジー・トーマス 訳:服部理佳 発行:株式会社岩崎書店
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アメリカのどこか分からないけど、ガーデンハイツという黒人街。(ニューヨークではないみたい)
主人公の女子高生スターは、パーティの帰り道で幼なじみのカリルが警官に射殺されてしまうという、
ショッキングな事件に遭遇してしまう。
カリルが警官に逆らったわけでないのに、撃たれてしまったことを、スターは警察で証言するが、
報道は警官の発砲が正しかったと主張、さらにカリルが麻薬の売人であったことなど、
あることないこと報道されてしまう。
スターは真実を明らかにするため、法廷で、TVで、声を上げることを決意する…。
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あらすじはかなりラフです。
自分がこの本を読んで感じたのは、
アメリカの黒人の人たちの生活ってこんな感じなのか?ってことでした。
食べたり、飲んだり、しゃべったり、パーティーしたり…そんなことが生き生きと描かれているので、
(アメリカのTVドラマを見てるような感じ)
それがとてもおもしろかったです。
もっとも、明るい面ばかりじゃなくて、ギャングが街を牛耳っているだとか、麻薬中毒者が街にうろうろしている
だとか、拳銃の発砲だとか、暴動事件だとか…。
黒人街のダークな側面も描かれています。
カリルが射殺されてしまったことも、黒人差別と無関係ではない、というわけです。
スターは何度も何度もこの悪夢に押しつぶされそうになりますが、
周囲の人々のはげましでじょじょに自分がどうすべきか理解していきます。
その心の動きがていねいに描かれていてすばらしいと思いました。
自分がこんな目にあったら、とても勇気がないだろうと思います。
正しいことを堂々と主張する強い心をぼくもほしい、と思いました。
高校生諸君もこの本を読んで、自分がどうすべきか、真剣に考えてほしいなと思います。
もちろん大人も読み応えある本であることは言うまでもありません。
“The Hate U Give” by Angela Thomas(2017)
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