夢見る人

夢見る人

「夢見る人」 作:パム・ムニョス・ライアン 画:ピーター・シス 訳:原田 勝 発行:株式会社岩波書店

ネフタリはひよわな少年だが,並外れた想像力の持ち主。
父親から将来は医者にと望まれ,空想などやめて強くなれと怒られるが,心はいつも夢見ることをやめられない。
魅惑的なチリの自然と書物に育まれ,やがてネフタリは才能豊かな詩人へと成長をとげる。
決して創造をやめない魂を,美しい挿絵とともにたたえる意欲作。

(岩波書店HPより)

表紙が美しいですね。
本文の絵もすてきです。
ついでに言うと、中身はすべて緑色のインクで印刷されています。

内容は、チリの世界的詩人(ノーベル文学賞受賞)、パブロ・ネルーダの幼年~少年時代の物語です。
自伝や伝記にあったエピソードをふくらませて書いた、とあります。

ネフタリ(パブロ・ネルーダの本名ね)は、身体が弱くて、友だちもいませんが、
空想したり、ちょっとした宝物(普通の人にはがらくた?)を拾ったり、
文を書くのがじょうずだったり…そんな子です。
お父さんがすごく厳しくて、「体を鍛えろ」とか、将来について「商売をするか、医者になれ」とか言いますが、
ネフタリは空想することをやめられないのです。
そして成長するにつれ、ネフタリはお父さんの意に反した行動をとるようになっていきます。
(怒ったお父さんはネフタリの書いたノートを全部燃やしてしまったりするのですが)
新聞社をやっているおじさんの影響もあり、ネフタリは社会問題に関心を持っていきます。
それが、後の詩人としての活動の原点になります。

「恋」というエピソードが面白かったですね。
ラブレターの代筆をする話なんですが、彼女にはだれが書いたかわかっているんですね。
文章がうますぎて、ネフタリくらいしか書けないってバレバレで。
おまけに彼女から、「また書いてほしい」なんて言われちゃって。
淡い恋のおもいで…なんてね。

若い人も大人もおすすめしたいです。
ネルーダの詩集も機会があれば読んでみたいです。

“THE DREAMER” Written by Pam Munoz Ryan, Illustrations by Peter Sisl(2010)