星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚
「星の旅人 伊能忠敬と伝説の怪魚」 作:小前 亮 発行:株式会社小峰書店
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寛政12年閏4月19日(西暦1800年6月11日)。
伊能忠敬は、幕府から許可を得て、蝦夷地に向け測量の旅に出かけようとしていた。
その一行の前に現れた少年、平次。
聞けば、父親が以前の蝦夷地測量で行方不明になったという。
平次の境遇に同情した忠敬は、同行を許す。
かくて、過酷な測量の旅が始まった…。
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読書感想文コンクールの中学校の部課題図書です。
伊能忠敬が蝦夷地へ測量の旅に出かけたのは事実ですが、
少年を連れていったりということはなく、
この「星の旅人」はフィクションになります。
各章の間に解説のページがあり、さまざまなトピックスが解説されて、
そこがなかなかおもしろいところです。
測量では、天体観察がとても重要なのだそうで、
そのあたりが「星の旅人」という題名になったのでしょう。
サブタイトルの「伝説の怪魚」のほうは、
ちょっと大げさすぎと思いますが、
平次の父親が残した手がかり、というところで、あとは本文で確かめてみてください。
といったところで、「解説」の中から、伊能忠敬の優れたところを述べたところを引用しておきます。
「忠敬はねばり強く地道に努力して、大事業をなしとげました。
また、非常に礼儀正しくて、師匠をはじめ、世話になった人にはあいさつを欠かしませんでした。
主張するところは主張しますが、面倒な役所の手続きにも労を惜しまないため、組織の中でも活躍できました。
規律にうるさく、上司としては煙たいところもありましたが、困っている人に手をさしのべるやさしさも持っていました。
ようするに、忠敬は身近によくいるまじめな人だったのです。
それをつらぬいて、結果を出したのでした。
しかも、忠敬が測量に乗り出したのは、隠居後、五十歳をすぎてからです。
今で言えば、定年後に違う分野で大活躍するようなものです。
そう考えると、忠敬の人生は多くの人に希望を与えるのではないでしょうか。」
特に後半の五十を過ぎて…っていうのがいいですね。
じぶんの人生もまだまだこれから、一花咲かせられるかなーなどと思いました。
ってことで、中学生諸君だけでなく、世のおとうさまがたもぜひお読みいただきたい一冊です。
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