その年、わたしは嘘をおぼえた

その年、わたしは嘘をおぼえた

「その年、わたしは嘘をおぼえた」 作:ローレン・ウォーク 訳:中井はるの・中井川玲子 発行:さ・え・ら書房

2017年ニューベリー賞オナー受賞作品。ニューヨークタイムズベストセラー。
NPR, Booklist, Entertainment Weekly, Kirkus Reviews,Shelf Awareness, School Library Journal, The Wall Street Journal, ALA ほか全米各書評絶賛。
ローレン・ウォーク、輝きのデビュー作

2つの世界大戦が暗い影を落とす1943年、「オオカミ谷」と呼ばれる丘陵地で静かなくらしを送るわたしの前に、黒い心を持つ少女が現れた。
わたしを、わたしの大事な人たちを、傷つけ、わなにかけ、おとしいれていく。
わたしは闘うことにした。けれども、ことは、それだけですまなかった――
嘘は真実をよそおい、11歳の少女を迷わせる。せつない決心は、予期せぬ結末へ…

(さ・え・ら書房HPより引用)

うーん。
重い内容だったので、読むのに手間取りました。
なかなかページが進んでいかないんですね。
とりあえず、楽しい本ではありません。

オオカミ谷に住むアナベルの前に現れたベティ。
町で「矯正不可能」と判断され、祖父母のいるオオカミ谷に越してきた。
アナベルに暴力をふるったり、お金をたかったりする。
それだけですまず、アナベルの弟にけがをさせたり、
アナベルの親友ルースに石を投げ、ルースは失明してしまう。
これに及んで、アナベルはベティに戦いを挑む。
まず両親に話し、ベティの祖父母と話をつけに行く…がベティがうそをついたため、話し合いは平行線に終わる。

それとは別に、放浪者トビーとアナベル一家との交流が描かれる。
トビーは第一次大戦で戦場へ行き、精神を病んで戻ってきた。
いつも三本の銃を背負っている(使えるのは一本だけ)。
アナベルの母がトビーに食事を時々分けてあげたりして、
アナベルもトビーが悪い人でないと信じている。
そこへまたしても事件。ベティが行方不明になったのだ。
トビーがベティを連れ出した、というのである。
そんなことをトビーはするはずがない――アナベルはトビーをかくまうことにした。
意外な結末が待っていると知らず――。
(ちょっと大げさか)

うそをつくことは、大人になるために通る道なんだろうと思いました。
うそがアナベルを成長させた――ということになるんでしょう。
人を傷つけるうそはだめですが、人を助けるうそならば、大目に見てくれるのではないか。
他人を助ける…そこにアナベルの成長が見えてきます。

大人も子どももぜひご一読ください。

“WOLF HOLLOW” by Lauren Wolk(2016)