戦火の三匹

戦火の三匹

「戦火の三匹 ロンドン大脱出」 作:ミーガン・リクス 訳:尾高 薫 発行:株式会社徳間書店

1939年9月、ドイツ軍がポーランドに侵攻すると、英国はドイツに宣戦を布告した。戦争が始まる……
ロンドンに住む人々は不安におびえ、子どもたちを田舎に疎開させはじめた。
十二歳のロバートと九歳のルーシーのきょうだいも、おばあちゃんの住むデヴォン州に疎開することになった。
そのため、ふたりのペット、ジャックラッセル犬のバスターと、ボーダーコリー犬のローズ、猫のタイガーは、
ロンドンの知り合いの家に預けられた。しかしその家の主人は、三匹の世話をいやがり、
安楽死させるため、動物シェルターに連れていってしまう。
危険を察知した三匹は、その場から逃げ出し、デヴォン州をめざして歩きはじめた……。
第二次世界大戦初期の英国を舞台に、疎開した子どもたちの姿、都会に残る人々の暮らし、
ペットたちの運命を織り交ぜて綴った、新しい視点から戦争を描く物語。

(カバーそでから引用)

まあ戦争ものなんですが。
まだイギリスが戦場になってない、という状況なので、
そんなに戦争、って感じでもないです。

子どもたちのドラマと、動物たちのドラマが入れ替わり出てきます。
子どもたちは、疎開先でのいじめや、かんじんのおばあちゃんがぼけてきていることなど、
いろいろ苦労します。
動物たちは、デヴォン州への旅で、いろいろなことに遭遇します。
惜しむらくは、(どこかのレヴューにもあったんですが)いらんエピソードや、
伏線をはったように見えてあとで回収されていないエピソードがちょいちょい見受けられて、
なんか素人っぽい感じがしてしまいました。

戦時中、イギリスでは75万匹のペットが殺処分されたそうです。
なぜそんなに?
たぶんペットの数がそもそも多いんだろうと思いますが、
ということは、ペットを飼う人が多い、ペットも家族の一員だ、ってことですよね。
その大事なペットをどうして殺してしまったのか…。
空襲がきたりしたら、ペットはいろいろな意味で邪魔になるから…、
それで殺してしまったんでしょうか。
ひどい話、無責任な話です。
戦争でひどい目にあうのは弱いもの。
弱いものをいたわる気持ち――があれば戦争なんてしてませんよね。

ちょっと脱線してしまいました。
細かいことを言わなければ、それなりに楽しめる一冊ではあると思いました。
特に動物たちのセクションはおもしろいと思いました。
よろしければどうぞ。

“THE GREAT ESCAPE” by Megan Rix(2012)