戦火の三匹
- 2019.04.30
- 児童書・イギリス
「戦火の三匹 ロンドン大脱出」 作:ミーガン・リクス 訳:尾高 薫 発行:株式会社徳間書店
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1939年9月、ドイツ軍がポーランドに侵攻すると、英国はドイツに宣戦を布告した。戦争が始まる……
ロンドンに住む人々は不安におびえ、子どもたちを田舎に疎開させはじめた。
十二歳のロバートと九歳のルーシーのきょうだいも、おばあちゃんの住むデヴォン州に疎開することになった。
そのため、ふたりのペット、ジャックラッセル犬のバスターと、ボーダーコリー犬のローズ、猫のタイガーは、
ロンドンの知り合いの家に預けられた。しかしその家の主人は、三匹の世話をいやがり、
安楽死させるため、動物シェルターに連れていってしまう。
危険を察知した三匹は、その場から逃げ出し、デヴォン州をめざして歩きはじめた……。
第二次世界大戦初期の英国を舞台に、疎開した子どもたちの姿、都会に残る人々の暮らし、
ペットたちの運命を織り交ぜて綴った、新しい視点から戦争を描く物語。
(カバーそでから引用)
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まあ戦争ものなんですが。
まだイギリスが戦場になってない、という状況なので、
そんなに戦争、って感じでもないです。
子どもたちのドラマと、動物たちのドラマが入れ替わり出てきます。
子どもたちは、疎開先でのいじめや、かんじんのおばあちゃんがぼけてきていることなど、
いろいろ苦労します。
動物たちは、デヴォン州への旅で、いろいろなことに遭遇します。
惜しむらくは、(どこかのレヴューにもあったんですが)いらんエピソードや、
伏線をはったように見えてあとで回収されていないエピソードがちょいちょい見受けられて、
なんか素人っぽい感じがしてしまいました。
戦時中、イギリスでは75万匹のペットが殺処分されたそうです。
なぜそんなに?
たぶんペットの数がそもそも多いんだろうと思いますが、
ということは、ペットを飼う人が多い、ペットも家族の一員だ、ってことですよね。
その大事なペットをどうして殺してしまったのか…。
空襲がきたりしたら、ペットはいろいろな意味で邪魔になるから…、
それで殺してしまったんでしょうか。
ひどい話、無責任な話です。
戦争でひどい目にあうのは弱いもの。
弱いものをいたわる気持ち――があれば戦争なんてしてませんよね。
ちょっと脱線してしまいました。
細かいことを言わなければ、それなりに楽しめる一冊ではあると思いました。
特に動物たちのセクションはおもしろいと思いました。
よろしければどうぞ。
“THE GREAT ESCAPE” by Megan Rix(2012)